【初心者向け】日銀がETFを売却する理由とは?個人投資家への影響をわかりやすく解説!

最近ニュースで話題の「日銀のETF売却」。でも、投資初心者にとっては「それってどういう意味?」「自分の株に影響あるの?」と疑問に思う人も多いはずです。
この記事では、日銀のETF売却がなぜ行われるのか、その背景や目的、そして私たち個人投資家にどんな影響があるのかを、できるだけわかりやすく解説します。
日銀がETFを売却する理由とは?
そもそも「ETF」ってなに?
ETFとは「上場投資信託(Exchange Traded Fund)」のことで、株式市場に上場している投資信託です。
TOPIXや日経平均などの指数に連動するように設計されており、1つ買うだけで複数の銘柄に分散投資できるのが特徴です。
日銀はなぜETFを買っていたのか?徹底解説
日銀(日本銀行)がETFを買っていた理由は、単なる「株価を上げるため」ではなく、日本経済全体を支えるための“政策手段”としての意味がありました。
以下、その背景・目的・仕組みをわかりやすく深掘りしていきます。
1. デフレ脱却を目指す「異次元緩和」の一環
2013年、黒田東彦総裁の下で始まったのが「異次元の金融緩和政策」です。これは、
- マイナス金利政策
- 長期国債の大量購入
- ETFやREITなどリスク資産の購入
といった手段を通じて、物価上昇率2%というインフレ目標を達成しようとしたものでした。
ETF購入は、その中でも株式市場を通じて経済に刺激を与えるための方法でした。
2. 株価上昇 → 資産効果 → 消費拡大 を狙った
日銀がETFを買うと、株式市場に「安定した大口の買い」が入ります。その結果、株価が上昇しやすくなります。
株価が上がるとどうなるか?
投資家や企業の資産価値が増え、「お金に余裕がある」と感じた人が消費や投資を活発化させる効果(=資産効果)が期待されます。
これは景気回復や物価上昇につながる可能性があるため、日銀はそれを狙ってETFを買っていたのです。
3. 市場の動揺を防ぐ「ショック吸収装置」として
リーマンショックや東日本大震災、コロナショックなどのような危機時には、株価が急落し、市場がパニックになります。
そうした時、日銀が「安定的にETFを買い支える」という姿勢を見せることで、投資家の不安を和らげることができました。これは“最後の買い手(バイヤー・オブ・ラストリゾート)”という役割とも言われました。
4. TOPIXや日経平均に連動するETFを選んだ理由
日銀が買っていたETFは、主に以下の2種類:
- TOPIX連動型ETF(東証1部全体に分散投資)
- 日経225連動型ETF(代表的な225銘柄)
どちらも日本経済全体の動向を反映する指標なので、これらに投資することで「日本株全体を支える」意図があったといえます。
また、個別株を買うのではなくETFを使うことで、企業経営への介入と見られにくくする配慮もありました。
5. 副作用もあった
一方で、以下のような副作用も問題視されるようになってきました:
- 株価が日銀によって“人工的に支えられている”状態
- 実力がない企業の株価まで押し上げられてしまう
- 市場の自己調整機能(価格発見)が働きにくくなる
- 日銀のバランスシートにリスク資産が多くなる
これらの問題を踏まえ、2025年以降の売却=出口戦略へとつながっていきます。
日銀がETFを買っていたのは、「株価対策」ではなく「金融政策の一環」として、景気・物価・市場安定を目的とした戦略的な判断でした。
しかし、副作用や市場歪みが大きくなったことから、今後はその異常な状況を正常化するための“売却フェーズ”に入ってきているというわけです。

なぜ今、売却に動くのか?
2025年、日銀は緩和政策の見直しを進め、ETFの売却を決定しました。背景には物価上昇や円安など、金融政策を“元に戻す”必要性が高まっていることがあります。
とはいえ、年間3,000億円ほどの規模で、慎重に時間をかけて売却される見込みです。
ETF売却で個人投資家に起こる変化とは?
日銀が長年続けてきた「ETF買い」がついに見直され、2025年から段階的に売却が始まりました。
この政策転換は、個人投資家の投資環境にも少なからず影響を及ぼします。
ここでは、どのような変化が起き得るのかを、具体的に深掘りして見ていきましょう
1. 株価の“底堅さ”が弱まる
これまで日銀は、相場が下落したタイミングでETFを大量に買い入れ、株価の下支え役を担っていました。
ETF売却が進むということは、裏を返せば:
- 下落相場での「日銀の買い」が入らなくなる
- 相場が崩れた時に戻りにくくなる
ということを意味します。
特に、日本株は海外勢の売買によって値動きが左右されやすい市場なので、日銀という“安定した国内買い手”が減ることは心理的な安心感の後退につながります。
2. 値動きが荒くなる(ボラティリティの上昇)
日銀がETFを売るという情報だけでも、市場は敏感に反応します。
- 「売られる前に売っておこう」という投資家が出てくる
- ETFに連動する銘柄に売り圧力が集中
- 想定外のタイミングで売却報道が出た場合、短期的な乱高下も
つまり、一時的に株価が振れやすくなる=ボラティリティが高まるということです。
初心者にとっては、「意味のない下落」に見える現象が増えるかもしれません。
3. 特定銘柄の需給バランスが崩れる可能性
ETF売却の影響は、“ETFの中身”に含まれる銘柄に直接及びます。
たとえば:
- TOPIXや日経平均に多く含まれる大型株(例:トヨタ、ソニー、三菱UFJなど)
- ETF比率が高く、日銀の保有割合が大きい銘柄
これらの株は、需給悪化(売られる圧力)によって、本来の企業価値とは関係なく株価が下がる場面も想定されます。
【チェックのヒント】
ご自身の保有銘柄が「どのETFに組み込まれているか」「そのETFが日銀に多く保有されているか」は確認しておきましょう。
4. インデックス連動の影響力が弱まる
日銀は主にインデックス(TOPIX・日経平均)連動型ETFを買ってきました。
このため、インデックス構成銘柄には資金が流れやすくなっていた=インデックス偏重相場が長年続いていたのです。
ETF売却が進むことで、この偏りも修正される可能性があります。
- 今まで“インデックスに入っているだけで買われていた銘柄”が見直される
- 中小型株やテーマ株に資金が分散しやすくなる
つまり、個別株の実力がより重視されるフェーズに入るということでもあります。
5. 長期的には市場の健全化が進む
ETF売却は、短期的にはネガティブな印象を持たれがちですが、長期的に見れば以下のような良い面もあります。
- 株式市場が本来の価格形成機能を取り戻す
- 業績や成長性など“中身”で評価される企業が増える
- 政策依存ではなく、自己責任・実力本位の市場になる
これにより、真に価値のある企業に投資する人が報われる時代へと変わっていく可能性もあります。
個人投資家に求められる「3つの行動指針」
- 銘柄の構成ETFや保有比率をチェック
→ 影響を受けそうな株はリスク分散を - 短期のノイズに左右されない判断力を持つ
→ 長期目線の投資戦略を持つことが大切 - 企業の「中身」をしっかり見る習慣をつける
→ 業績、キャッシュフロー、ROE、配当など
日銀のETF売却によって、これまでの相場構造がじわじわと変わっていきます。
その中で、自分の投資スタイルを再確認し、必要に応じてポートフォリオを見直すことが、個人投資家にとって大切なアクションになります。
焦らず、じっくり。情報を見極めて、資産形成を続けていきましょう。

初心者がとるべき投資戦略とは?不安定な相場を乗り切るために
日銀のETF売却が始まり、株式市場はこれまでよりも「変動しやすく、不安定な環境」に突入しました。
こうしたタイミングで投資を始める初心者にとっては不安もあるかもしれませんが、正しい戦略を持っていれば、むしろチャンスにもなります。
ここでは、初心者が今とるべき具体的な戦略を5つの視点から深掘りしていきます。
1. 長期投資を基本にする
変動が大きい相場では、短期の値動きに振り回されてしまいがちです。
しかし、企業の本質的な価値(業績、成長性など)は、短期間では大きく変わりません。
だからこそ、初心者こそ「買ってすぐ売る」よりも「時間を味方につける投資」が安全で成果も出やすくなります。
【ポイント】
- 投資期間は 最低5年〜10年 を想定
- 毎月コツコツ積立(ドルコスト平均法)でリスク分散
- 長期的に成長が期待できる企業やセクターを選ぶ
2. 分散投資で“1点負け”を防ぐ
ETF売却で特定銘柄に影響が集中することもあるため、初心者は1社・1テーマに集中投資するのは避けるべきです。
【分散の種類】
- 銘柄分散(複数企業に分ける)
- 業種分散(金融・IT・ヘルスケアなど)
- 地域分散(日本株・米国株・新興国など)
投資信託やインデックス型ETFを使えば、自動的に分散投資ができるので初心者にもおすすめです。
3. 「余裕資金」で運用する
市場が下落すると、つい「早く売らなきゃ」と焦ってしまいがち。
でも、それは必要資金を投資に回してしまっているから起こる心理です。
投資はあくまで「生活に影響しない範囲の余剰資金」で行うべきです。
【目安】
- 手元に 6ヶ月分の生活費 を確保した上で投資
- 無理なレバレッジや信用取引は避ける
- 予想外の下落でも 持ち続けられる精神的余裕 を持つ
4. 自分の投資スタイルを明確にする
- 「なぜこの銘柄に投資しているのか」
- 「どんな時に売るのか、どんな時に買い増すのか」
- 「目標リターンは年◯%か?」
といったように、自分なりの投資ルールやスタンスを明確にしておくことが重要です。
そうすることで、ニュースやSNSに影響されて「感情で動く」リスクを減らせます。
5. 経済の基本や企業の見方を学び続ける
今後の市場は、「なんとなく上がっていた銘柄」が通用しにくい時代になります。
だからこそ、企業の財務・業績・成長戦略など“中身”を見る力が求められます。
初心者でも、少しずつ学べばOKです:
【学びのおすすめ】
- 決算書の基本(売上・利益・ROEなど)
- ニュースやIR資料から「業績の傾向」を読み取る習慣
- 信頼できる経済メディアやサイトで情報収集
まとめ:ETF売却は“長期的にはチャンス”にも
日銀のETF売却は、一見すると不安に見えるかもしれませんが、市場の健全化に向けたステップとも言えます。
短期的には不安定な相場が続くかもしれませんが、長期的には「実力のある企業が評価されやすい」時代に入るとも言えます。
投資初心者の方も、この機会に自分の投資方針を見直し、無理のない長期投資を続けていきましょう。