生活防衛資金はいくら必要?大家歴20年の私が「1年分」を持つ理由
こんにちは、ふうぱーです。
「生活防衛資金って、いくらあれば安心なんだろう?」
調べてみると「生活費の3か月分」「いや半年分」「1年は欲しい」と、書いてあることがバラバラで迷いますよね。
私は50歳。アパート大家歴20年、個人投資家歴27年です。この記事では、一般的な目安の話ではなく、私が実際にいくら確保していて、なぜその額なのかを書きます。
先に言っておくと、私は多めです。その理由は、この記事の後半に出てくる「ある年」の話を読んでいただければ、きっと納得してもらえると思います。
結論:生活費の1年分+設備の交換費用
私が持っているのは、この2つです。
- 生活費の1年分(生活防衛資金)
- エアコンと給湯器の交換費用、3部屋分(賃貸業の設備予備費)
いわば二階建てです。一階が「自分の暮らしを守るお金」、二階が「賃貸業の設備が壊れたときのお金」。
多いと思われるかもしれません。実際、会社員の方であれば半年分でも十分だと思います。ただ、私が1年分を選んでいるのには、はっきりした理由があります。
なぜ1年分なのか:空室と修繕は「読めない」から
賃貸業は、外から見ると「毎月家賃が入ってくる安定した商売」に見えます。実際、入りは比較的読めます。
読めないのは出ていく方です。
- 入居者さんが退去すれば、その部屋の家賃はゼロになる。次が決まるまで何か月かかるかは分からない
- 退去後の原状回復やリフォームには、当然お金がかかる
- 設備は、こちらの都合を考えずに壊れる
家賃収入という「入り」が安定しているように見えても、出ていく方が読めない以上、備えは厚くしておくしかない。20年やってきて、私はそう考えるようになりました。
同じ年に、630万円が飛んでいった話
理屈だけだと伝わりにくいので、実際にあったことを書きます。
築19年のアパートで、同じ年にこの3つが重なりました。
- ドアホンの全室一斉交換:約200万円
- 給水ポンプの交換:約200万円
- 消防設備の交換:約230万円
合計、約630万円です。
どれも「壊れたから直す」ではなく、「そろそろ寿命だから替えないと危ない」という性質のもの。特に給水ポンプは止まれば水が出なくなりますし、消防設備は入居者さんの命に関わります。値段を見て「来年にしよう」と先送りできる種類の出費ではありませんでした。
しかも、それぞれ別の業者から別のタイミングで話が来ます。1つ目を払った時点では、まさかその年にあと2つ来るとは思っていません。
このとき手元にお金がなかったらどうなっていたか。借りるか、投資しているものを売るか。どちらも、できれば避けたい選択です。
建物は、築15年〜20年あたりで設備の寿命が一斉に来ます。これは大家をやってみて初めて実感したことでした。1年分の防衛資金を持つようになったのは、この経験が大きいです。
エアコン・給湯器は「3部屋分」を別に用意
上の話は建物全体の設備でしたが、各部屋の設備も壊れます。
エアコンと給湯器は、賃貸業でいちばん頻繁に交換が発生する設備です。しかも、たいてい いちばん困るタイミングで壊れます。エアコンは真夏、給湯器は真冬。入居者さんの生活に直結するので、「お金の都合がつくまで待ってください」とは言えません。
そこで私は、エアコンと給湯器の平均的な交換費用の3部屋分を、生活防衛資金とは別に用意しています。
なぜ3部屋分か。1部屋分だと、たまたま重なったときに足りません。かといって全部屋分を寝かせておくのは効率が悪すぎます。20年やってきた経験からの肌感覚として、「同時期に3部屋まで」なら現実的にありうる範囲かな、と考えています。
この金額は、お持ちの物件の戸数や築年数で変わります。ご自身の物件の設備がいくらで替えられるのか、一度見積もりを取っておくと、備えるべき額が具体的になりますよ。
一般的な目安:会社員・フリーランス・自営業
ここまで私の場合を書いてきましたが、一般的にはこう言われています。
- 会社員(共働き):生活費の3か月分程度
- 会社員(単身・片働き):生活費の6か月分程度
- フリーランス・自営業:生活費の1年分程度
なぜ立場で違うのかというと、収入が途切れたときの復旧のしやすさが違うからです。会社員には傷病手当金や失業給付といったセーフティネットがありますが、自営業はそこが薄い。だから厚めに持つ、という考え方です。
ただ、私はこの目安よりも大事な基準があると思っています。それは、
自分の仕事や暮らしで「一度に飛びうる最大の出費」はいくらか。
私の場合、それが630万円だったわけです。会社員の方でも、住宅ローンを抱えていたり、お子さんの学費が控えていたり、ご両親の介護が視野に入っていたりすれば、必要な額は変わります。教科書の月数より、自分の事情。これに尽きると思います。
どこに置くか:投資には絶対に混ぜない
私は住信SBIネット銀行の「目的別口座」に入れています。
普段使いの口座とは切り離して、用途ごとに箱を分けられる仕組みです。「生活防衛資金」「設備交換用」と名前をつけて分けておくと、残高を見るだけで「今どれだけ備えがあるか」が一目で分かります。
大事なのは、この2つのお金を投資に回さないことです。
「ただ置いておくだけなんてもったいない、少しでも増やしたい」——気持ちはよく分かります。投資歴27年ですから、なおさらです。
でも、防衛資金が必要になる場面を思い出してください。空室が続いているとき、設備が壊れたとき、体調を崩したとき。そういう「困っている時期」は、世の中全体の景気が悪くて相場も下がっている時期と重なりがちです。
いちばんお金が必要なときに、いちばん安い値段で売る。これが最悪のパターンです。
守りのお金は、増えなくていい。必要なときに、額面どおりすぐ引き出せること。それだけが仕事です。
相場が下がったときの心構えについては、こちらの記事にも書きました。

50歳になって変わったこと
今年、50歳になりました。
20代・30代の頃は、とにかく守りを固めることばかり考えていた気がします。備えを厚くして、増やして、また備えて。それが正しいと思っていました。
50になって少し変わったのは、「今を楽しむ使い方」も、ちゃんと視野に入れるようになったことです。
守りを固めるのは、不安に怯えて生きるためではありません。安心して今を楽しむためです。防衛資金がしっかりあるからこそ、美味しいものを食べに行ったり、旅行に出かけたり、仲間とワイワイする時間にお金を使える。使ったあとに「大丈夫かな」と心配しなくて済む。
備えは目的ではなく、手段。50歳になって、ようやくそう思えるようになりました。
よくある失敗3つ
最後に、私自身や周りを見ていて「これはもったいない」と思う失敗を3つ。
- 投資に混ぜてしまう
上に書いたとおりです。必要なときに限って値下がりしています。
- 保険で代用しようとする
「保険に入っているから大丈夫」と考える方がいますが、保険金はすぐには出ません。請求して、審査があって、振り込まれる。その間の支払いはどうするのか、という話です。
- 目標額を決めずに、なんとなく貯める
ゴールがないと、貯まっている実感が持てず、途中で嫌になります。「生活費の◯か月分=◯◯万円」と数字を決めてしまうのがおすすめです。決めた額に届いたら、そこから先は投資に回せばいい。区切りがあると気持ちが楽になります。
まとめ
- 私は生活費の1年分+エアコン・給湯器の交換費用3部屋分を確保しています
- 理由は、空室と修繕は読めないから。実際、同じ年に630万円が飛んだ経験があります
- 教科書の月数より、自分の暮らしで一度に飛びうる最大の出費を基準に考えるのがおすすめです
- 置き場所は投資と分ける。増えなくていい、すぐ使えることがすべて
- そして、守りを固めるのは安心して今を楽しむためです
守りが固まると、攻めが怖くなくなります。投資を始めたいけれど不安、という方こそ、まずはここからだと思いますよ。


